不動産問題の本当の論点は、そこじゃない
最近、不動産の話題になると
「外国人の不動産取得を規制すべきだ」
という声をよく聞くようになった。
確かに、
・誰も住んでいない家が増えている
・地価だけが上がっている
・地元の人が住みにくくなっている
こうした状況を見ると、不安になる気持ちは自然だと思う。
でも、少し立ち止まって考えてみたい。
問題なのは「誰が買ったか」だろうか?
本当に困っているのは、
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外国人が買った家
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日本人が買った投資用の家
そのどちらかではなく、
👉 「買われたあと、誰にも使われていない家」
👉 **「地域に何も還元しないまま、ただ持たれている家」
ではないだろうか。
実際に、
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住んでいる
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賃貸として貸している
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店や仕事に使っている
こうした形で使われていれば、
所有者の国籍が地域に与える影響は、実はそれほど大きくない。
規制をかけても、抜け道は必ず生まれる
「外国人は買えません」とルールを作っても、
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名義を変える
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法人を使う
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家族名義にする
といった方法で、現実には回避されてしまう。
その結果、
規制はあるけど、実態は変わらない
という状態になりやすい。
これでは、制度として成功とは言えない。
発想を変える:「買えなくする」より「持つ意味をなくす」
そこで大切なのは、
禁止よりも、実利を減らすことだと思う。
たとえば――
● 誰も住んでいない家は、負担が重くなる
長期間使われていない家には、税金が少し高くかかる。
逆に、住んだり貸したりすれば、その負担はかからない。
👉 放置するより、使った方が得。
● 使い道をきちんと届け出る
この家は「住んでいる」「貸している」「空き家です」
それを年に一度、簡単に届け出る。
👉 「持っているだけ」が見えなくなるのを防ぐ。
● すぐ転売して儲けるのは割に合わない
短期間で売るほど、税の負担が大きくなる仕組み。
👉 「買って寝かせて値上がり待ち」は成り立たない。
このやり方のいいところ
この方法には、こんな特徴がある。
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国籍で線を引かない
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差別になりにくい
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住んでいる人は困らない
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投機や放置だけが不利になる
つまり、
「誰が持っているか」ではなく
「どう使っているか」だけを見る
という、とてもシンプルで公平な考え方だ。
地方こそ、こうした仕組みが必要
地方では、
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空き家が増えている
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若い人は家を探しにくい
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でも放置された家は多い
という矛盾が起きている。
「持つだけでは損」
「使えば地域にも自分にもプラス」
そんなルールがあれば、
家は自然と人の暮らしに戻ってくる。
おわりに
不動産の問題は、感情的になりやすい。
でも本当に必要なのは、
排除ではなく、設計
だと思う。
買う人を締め出すより、
使われない不動産が得をしない社会を作ること。
それが、
地域を守り、分断を生まず、
長く続く解決策になるのではないだろうか。

